#6「よい職場」「よい組織」が競争力を生み、現場を大切にする企業が最後まで生き残る

きょうは組織論の記事を掲載していこうと思います。いままでお金系の記事を連投していたのですが、ちょっと箸休めで勉強したことをまとめていこうと思います。

組織論好きなんですよねー。😁

大学院の授業の中でも特に熱が入るやつです。

最近、歯科業界でも、「組織アプローチ」や「チームマネジメント」など人材教育や人材管理に関する言葉が散見されるようになりました。

みなさんご存知だとは思いますが、ひと昔前の労働力豊富な時代はすでに終了し、人手不足時代に突入しています。

中小企業が人が足りないってよく聞きます。。周りの先生も常に求人出してるけどこないって嘆いてます

目次

①人手不足の実際とそこから何を考えるか

帝国データバンクの2019年7月『人手不足に対する企業の動向調査』によると、正規社員が足りないと回答した企業は48.5%でした。前回調査よりも2.4ポイント減少しているものの、非常に高い水準にあります。

更に業界別にみると事態は深刻で、例えば建設業は正社員と非正社員、サービス業は正社員で人手不足を感じている企業が増加しています。

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また厚生労働省の2016年の調査でも34歳以下で59.6%、35歳から59歳における人手不足産業と中小企業の離職率が高い(59.0%)ことが判明しています。

また産業に関わらず、入職者の30%〜40%は1年以内に何かしらの理由で離職していることも報告されています。

人手不足産業における離職理由について、中小企業では、「会社の将来性」や「給料」の割合が比較的高いとあります。ただし、34歳以下の中小企業では、「職場の人間関係」が、「給料」「労働時間」に匹敵するほど割合が高いと報告されています。

さらに、医療、福祉業界での人手不足は深刻で、50%以上の病院や福祉施設で人手不足であると報告があります。人手不足になると、平均労働時間が長くなり、規模が小さくなればなるほどよりその傾向が高くなることも報告されています。

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これらのデータをまとめると、

・医療業界は他業界と比較し、人手不足傾向が高い
・34歳以下の従業員は給料とかやりがいとかだけでなく「人間関係」も重視する傾向が高い
・1年以内に離職する34歳以下は30〜40%

という結論になります。

人手不足になる原因として、人材獲得競争の激化や、労働者人口の減少、採用手法の変化などが挙げられます。

特にこれからの歯科医院の中心になるであろう歯科衛生士の求人倍率は2017年の段階で20.5倍(歯科衛生士1名に対し約20医院募集がくる計算)です。また歯科医師は2014年と少々古いデータにはなりますが、10.05倍でした。

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歯科衛生士の求人倍率。1人の新卒に20医院がオファー!全国歯科衛生士教育協議会が発表した「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」をもとに、歯科衛生士の求人状況についてまとめstyle.dental

両者ともにとんでもない数字ですね。おそらく現在倍率はもっと跳ね上がっているでしょう。

採用できないし、採用コスト高いし、採用してもすぐやめるし、やめないように優しくしていたら仕事しないし。。みたいな負のループに入ってしまうと元も子もありません。

きちんとした医療を提供するためには、きちんとした職場でなければいけません。競争力の源泉は組織であり、従業員です。従業員満足度が低ければきちんとしたサービスも提供できないし、顧客満足度や顧客提供価値が達成できません。

従業員の満足度が顧客満足度に繋がり最終的に企業利益につながるという考え方は、「サービスプロフィットチェーン」という概念で因果関係が示されています。

②サービスプロフィットチェーンとは?

サービスプロフィットチェーンとは、顧客と従業員の満足を収益性に関連づけるフレームワークとして、1994年のジェームズへスケットらのHBR論文で提唱されました。

サービス・プロフィット・チェーンの基本的な考え方は、組織が従業員を大事にすれば、従業員は顧客によいサービスを提供するというものです。そうなると顧客の購買が増え、企業の売上げと利益が増大します。そうして得られたリソースを軸に、企業は従業員満足と顧客満足をさらに高めることができます。この好循環は小売業だけでなく、先進各国で経済の中核を成すサービス業全般に言えることが証明済みです。

このコンセプトを実行し成功させるには、持続的な努力を必要とします。従業員ロイヤルティと顧客満足を確立するには、トレーニング、評価、報酬等のさまざまな分野にまたがって何年にもわたる取り組みが必要です。

ある一部分だけ、実践しても意味はありません。例えば、従業員の報酬だけよくすることや、一時的な経費削減、企業理念や方向性を変えるなどの背策は無意味に等しいです。

この論文に書かれていることは、単なる1つの背策ではなく、「企業の生き様、あり方」をどのようにするかです。そのためにどのような組織、どのような人材と共に成し遂げていくかを重要視しなければなりません。

強固な組織こそが、長期的な成功への鍵なのです。

利益利益と言い続けるとスタッフの心が離れてしまうので、従業員満足度ファーストで考えた方がいいですね!継続的な従業員への投資は大切です♪

③強固な組織とは

そもそも「組織」とはなんでしょうか。チェスターバナードの組織の3原則によると、

・共通の目的をもっていること
・お互い協力する意思を持っていること
・円滑なコミュニケーションが取れること

とあります。その定義が満たされない組織はただ単に目的意識がない人たちの集まり、すなわち組織ではなくただの烏合の衆とされています。

みなさんの歯科医院は組織でしょうか?それとも烏合の衆でしょうか?

組織を語る上で考えるべきポイントは従業員のエンゲージメント(愛着、愛社精神、満足度などの意味)とエンパワーメント(権限移譲)です。

先ほどのサービスプロフィットチェーンの概念でも記述した通り、従業員のエンゲージメントは顧客満足度の向上に繋がります。

いままでの日本の歯科医院を含む中小企業は、従業員のエンゲージメントに着目することなく、往々にして精神論を語ることが多いような気がします。

例えば、「あなたが休んだら代わりがいないから有休とらないで」とか「態度が気に入らないから減給ね」とか「何年も仕事しててこんなことも知らないの」とか。(これ、本当に聞いた話です)

こんなことをいっているようじゃ、従業員のエンゲージメントは向上しませんし、企業の利益にも繋がりません。

いい組織、いい職場作りなんて絶対無理ですよね。

強固な組織作りには、従業員のエンゲージメントとエンパワーメントが必須事項なのです。

④現場を大切にする職場は最後に勝つ!

よい職場を作るためには、かならず守らなければいけない前提条件があります。

ハーバードビジネスレビューの”従業員への投資が業務改善につながる How to build a business on good jobs, HBR December 2 , 2017 Zeynep Ton et al”によると、

・人間関係が良好でコミュニケーションがとれること
・経営者が忍耐力があること
・組織全体が変化に耐えうる状況であること

という条件をあげています。要するに職場を変えるためには、時間とお金がかかり、経営者と従業員の両方に極度のストレスや負担がかかるのです。

サービス産業において「従業員を重視する職場(組織)が競争力をうむ」ことがわかっていても、それを実行するには変革をおこす戦略チームの組成と現場の理解が必須です。

戦略チームを選抜し、目標と方向性を揃え、よりよい職場に変革させようと思うと、以下の3つのポイントを注意せねばなりません。

・顧客と従業員に関する、頭と心の両方に響く魅力的なビジョンを作ること
・CEO、COOの後ろ盾を得て権限移譲(エンパワーメント)された戦略チームを作ること
・全員参加のMTGやビデオ、メモ、そのほかの手段を通じて、変革に関して率直なコミュニケーションを継続的に行うこと

この論文で示されているように、やはりいい職場作りには、従業員とのコミュニケーションとエンゲージメント、そしてエンゲージメントが重要になります。

組織をどのような順で変革させていくかというのは、ジョンコッターの8段階プロセスとレビンの変革プロセスいう概念で説明ができます。変革における人間の行動や組織の反発、行動基準はこれで説明可能ですし、再現性が高いです。(これを書くとめちゃ長くなるので、別記事で。)

徹底的な効率化や、急激な配置転換、また過度な教育や、意味の通じないマネジメント背策などを行うと、従業員はいままでの業務ではなくまったく別の業務につくことになるため、ストレスや疲労を溜め込みます。

それがメンタルヘルスの悪化に繋がり離職につながるのです。

利益重視の企業は、いまいちど現場を注視しなければいけないと感じています。

現場の従業員がいなければ、企業は存続しないのです。

また、従業員は、自分が企業に対してどのような役割を果たせるか、組織の中でどのような役割を担えるかを考えるべきです。エンパワーメントしてもらえる信頼を作る、積極的にコミュニケーションを取る、経営者はけっして従業員を追い込みたいわけではなく、なんとかして企業を存続させたい一心で従業員に教育しているということを理解しなければいけません。

現場を大切にしない職場、組織は自然に消滅します。従業員は自然と離職します。その結果1年以内の離職率が30〜40%なのでしょう。

今一度言います。現場を大切にする職場は最後に勝つんです!

いかがでしたしょうか?日本中の歯科医院がいい職場になることを祈っています。少しでもこの記事が参考になりますように。

書いている途中で熱くなってしまい、最後までノンストップでした。笑

ではきょうはこのへんで!

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